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今日は、お子さんの言葉の力を育む家庭での言語活動として、すごろく作りについてお話ししたいと思います。すごろくは、いわゆるボードゲームの一種で、「桃鉄」
や「モノポリー」
といったゲームも含めて、一つのテーマで探究を深めることができる、非常に奥深い学習ツールです。
小学校では、「言葉の力をつける」
という目標を掲げ、様々な「言語活動」
を重視しています。中でも、すごろく作りは、子どもたちが「楽しい!」
と夢中になりながら、自然と多くの力を身につけられる、最高の活動の一つです。
第1章:なぜすごろく作りは子どもを夢中にさせるのか?
すごろく作りは、単に紙とペンがあればできるシンプルな活動ですが、子どもたちのモチベーションを最大限に引き出す、いくつかの要素があります。
1. 友達と協力して作る楽しさ
学校でこの活動を行う場合、子どもたちはグループで協力してすごろくを作ります。「どういうテーマにしようか?」
「どんなルールにすれば面白いかな?」
と話し合いながら、一つのものを作り上げる過程は、協同的な学びの理想的な形です。
「早くみんなで遊びたい!」
という気持ちが、作品作りの原動力となり、子どもたちは驚くほど集中して取り組みます。この「目的」
と「楽しさ」
が結びつくことで、学習効果は飛躍的に高まります。
2. 遊びの天才がルールを作る
子どもたちは、まさに「遊びの天才」
です。大人が「こうしなさい」
と言わなくても、自分たちで次々と新しいルールを考え出し、工夫を凝らします。
私が以前、地域について紹介するすごろくを作ったクラスでは、子どもたちは「お店に止まったらアイテムカードをゲットできる」
というアイデアを思いつきました。そのアイテムカードには、お店の人にインタビューした内容が書かれており、別のマスでそのカードを使うことでゲームを有利に進められる、といったルールを独自に生み出していました。
このように、子どもたちの自由な発想を尊重することで、想像力を超えた面白い作品が生まれます。
第2章:すごろく作りから広がる、無限の探究学習
すごろく作りは、遊びという枠を超え、「探究学習」
や「調べ学習」
に自然と繋がっていきます。
1. テーマ選びが探究の第一歩
学校ですごろくを作る場合、まずは「どんなテーマにするか」
という話し合いから始めます。「地域の人と一緒に遊びたいから、地域の名物やお店を紹介するすごろくがいい!」
と目的を立てることで、その後の活動は一気に広がります。
「じゃあ、地域の人にインタビューしてみようか!」
「朝、通学路で見守りをしてくださる方のお話を聞いてみよう!」
このように、一つの言語活動が、「話す」「聞く」
だけでなく、「調べる」
という探究活動へと自然に繋がっていくのです。
ご家庭で取り組む場合は、地域に限定する必要はありません。お子さんの興味関心に合わせて、自由にテーマを決めましょう。
2. 探究心を刺激するテーマの具体例
- 鉄道すごろく:鉄道が好きなお子さんなら、
「岡山県に止まったら吉備団子をゲット!」
のように、各県の特産品を巡る旅にしたり、「世界の電車シリーズ」
として、世界中の電車の歴史や特徴を調べながらすごろくを進めていくのも面白いでしょう。 - 物語すごろく:物語仕立てのすごろくもおすすめです。
「宝探しの冒険」
をテーマに、「右に進むと怪獣に出会う」「左に進むとアイテムをゲット」
のように、冒険の過程をマスに書いていきます。これは、物語の構成力や発想力を養うのに最適です。
すごろくのマスに書くことが、そのまま探究の材料となるため、「調べる」
という行動が、自然で楽しいものへと変わります。
第3章:親の関わり方で、すごろくは最高の教育ツールになる
せっかく作ったすごろくを、より学びの深い時間にするためには、親の関わり方が非常に重要です。
1. 子どもの言葉を広げる「問いかけ」
子どもが「このマスには、好きな電車について書いたんだ」
と話したら、「どうしてその電車が好きなの?」
と優しく問いかけてみましょう。
「かっこいいから!」
という答えが返ってきたら、「どの部分がかっこいいのかな?」「じゃあ、他の電車と比べて、どんなところが違うんだろうね?」
と、さらに言葉を広げてあげましょう。
2. 勝ち負けよりも「プロセス」を褒める
「すごい!6が出たね!」
「すごく面白い話だったよ!」
「あの時、一回休みだったけど、諦めずに頑張ったね」
勝ち負けの結果だけでなく、話す内容を考える時間、最後まで諦めずにやり抜く姿勢といったプロセスを褒めることで、子どもの自己肯定感を高めることができます。
特に、「こんな工夫を考えたんだね!すごい!」
「こんなにたくさん調べたんだね、粘り強く頑張ったね」
といった言葉は、子どもの創作意欲や探究心をさらに掻き立てます。
3. 改善を促す「トライ&エラー」
一度作ったすごろくで遊び終わった後、「どうだった?もっと面白くするにはどうしたらいいかな?」
と問いかけてみましょう。
「ちょっと早く終わりすぎちゃったから、もっとマスの数を増やしてみようか」
「ここにこのルールを入れたらもっと面白くなるかも!」
子どもは、「もっといいものを作りたい」
という本能的な欲求を持っています。一度きりで終わりにせず、繰り返し「トライ&エラー」
を繰り返すことで、すごろく作り自体が、探究的な活動の一部となり、さらに深い学びへと繋がります。
まとめ:すごろくは、考える力を育む「魔法の道具」
すごろくは、サイコロの目という「偶然」
と、コマを進めるという「自己決定」
の繰り返しです。この一見シンプルな遊びの中に、自己決定力、論理的思考力、そして言葉の力を育む、たくさんの知的な要素が詰まっています。
ぜひ、次のおうち時間に、親子でオリジナルのすごろく作りに挑戦してみてください。それはきっと、子どもたちの心に深く刻まれる、最高の学びの体験となるはずです。
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